抄録
ヒノキ幼齢林(9~12年生)と壮齢林(72~75年生)で樹幹流を4年間測定した。年間の樹幹流/雨量(SF/R)の値は、樹冠閉鎖度が最小(55%)である林齢9年の幼齢林で5.9%の最大値を示した。翌年にはSF/Rは2.8%まで激減し、林齢11年(3.8%、樹冠閉鎖度81%)と12年(4.3%、樹冠閉鎖度94%)では樹冠の成長と伴に徐々に回復した。壮齢林ではSF/Rの経年変化は読み取れなかった。写真解析から、林齢9~10年を挟む期間に枝の先端付近が直線的で上向きの集水しやすい構造から上に凸で水を逃がしやすい構造へと変化していることが分かった。これがSF/R激減の原因と考えられる。SF/Rを四半期毎、降雨毎に解析したところ、両林分ともに観測期間を通じて7~9月に最小となった。これは夏季に樹冠遮断率が大きくなることに起因すると考えられる。