抄録
本研究では、気象庁が開発した土壌雨量指数を用いて、日本全域を対象に、2001-2008年の土砂災害発生危険性を明らかにした。2001-2008年の土砂災害発生危険性には地域差があり、1年間に何度も危険性を高める雨が降った箇所もあれば、この8年間に一度も土砂災害の危険性が高まらなかった箇所もあった。
牛山(2005)では、暖候期降水量から推定される極値降水量が観測されていない地域を豪雨空白域として抽出している。その豪雨空白域における土砂災害発生危険性を調べたところ、新潟・山形県境付近、富山県中央部、近畿地方中部と種子島南部は豪雨空白域であり、対象期間(2001-2008年)の土砂災害発生危険性も高まっていなかった。すなわち、これらの箇所では、今後の大雨の際に土砂災害発生危険性が高まる可能性が示唆される。