抄録
近年,アジア・アフリカを中心とした人口増加や経済成長に伴い水資源の需要が格段に増大しており,統合水資源管理(IWRM)が持続可能な発展のための鍵となっている.また,気候変動の影響により,洪水や干ばつなどの水関連災害リスクの増大が強く懸念されており,IWRMを行う上で,気候変動の影響も考慮しうる水資源モデルの開発が強く求められている.今回研究対象としたタイを含む東南アジアでは,灌漑農業による大規模な取水やモンスーンの影響による雨季乾季の季節変動など,その水循環の把握には多くの課題が残されている.本研究ではタイ・チャオプラヤ川を対象として陸面過程モデルにて解析を行い,灌漑を含めた流域の水収支の検証を行った.