主催: 水文・水資源学会
インドネシアの熱帯泥炭には多量の炭素が蓄積されているが,近年の農地開発の影響で,地下水位が低下することなどが原因とみられる泥炭地の乾燥化が起き,大規模な火災を引き起こしている.そこで,火災の抑制には地下水位をコントロールすることが有効であるが,地下水位と関係が深い河川水位の予測ができれば地下水位のコントロールにつながると考え,本研究では,Kahayan川のPalangkaRaya観測所の水位を予測することを目指した.また,Kahayan川は水文データが乏しく,流量の把握や流出モデルによる河川水位の推定が困難であることから,Nearest Neighbor法の適用を試みた.結果,10日後予測では予測水位が遅れる傾向にあるが,5日後予測では概ね良好な予測ができることが示され,水文データが乏しく流出モデルの適用が困難な河川においてもNearest Neighbor法により将来の水位の傾向を見ることが可能であると示されたといえる.