主催: 水文・水資源学会
姉川流域を対象として,セル分布型流出モデルに姉川ダムと丹生ダムの貯留効果を含めたモデルを組み込むことにより,流域におけるダム群の治水効果を明らかにする.降水量は2005年9月と2007年7月の豪雨データを用いた.ダムの操作ルールは,水位と貯水容量,水位と放流量の関係を近似により定式化した. 2つのダムを自然調節方式とし,_i_)ダムなし,_ii_)姉川ダム単独,_iii_)姉川ダム・丹生ダム併設の場合について流量を計算した.ピーク流量はいずれの豪雨に対しても_ii_)で20%以上,_iii_)で30%カットされた.さらに,100年確率相当の降雨に対して_i_), _ii_),_iii_)の場合に加えて,_iii_+)丹生ダムでダム操作を行う場合について流量を計算した.ピーク流量は_i_)と比べて_ii_)は8.5%,_iii_)は23.0%,_iii_+)は21.2% 減少した.分布型流出モデルを用いて,ダム群の洪水調節機能を定量的に評価できるようになった.