抄録
本研究では,3つの事例に対する降水空間分布と過去34年間のアメダスから得られた豪雨履歴に基づいて,平成24年7月九州北部豪雨事例の雨量特性について調べた.その結果,3つの豪雨事例は,バックビルディング型の降水システム(豪雨発生に対する警戒すべきシグナルの一つ)の形成と強く関連していることを確認することができた.最も注目すべき点は,バックビルディング型の降水システムの南下が著しく遅い特徴を示したことである.このことで豪雨が同一地域で継続する条件が整い,熊本県の阿蘇乙姫,福岡県の黒木で過去最大級の豪雨になったことがわかった.