本研究では,地球温暖化により伊勢湾の水文環境がどのような影響を受ける可能性があるかを評価するため,流域圏統合モデルを用いて伊勢湾の海面水温の将来変化を予測し,水温変化に及ぼす大気・河川・外洋の各境界条件のインパクトを調べることを目的とした.
現在気候再現性を検証した結果,夏季の水温再現性はよいが,冬季は5℃近くの正バイアスがあり,モデル改良の必要性があることがわかった.CMIP3マル チモデルアンサンブルによるA1Bシナリオ将来予測計算によると,伊勢湾全体の水温は約2℃以上上昇し,特に沿岸部での上昇が顕著であることがわかった. また外力の感度分析の結果,将来水温予測計算に影響する外力影響度は外洋>大気>河川の順であることがわかった.