水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2015年度研究発表会
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【地下水・流出】
中間素子数の変化による複数の予測結果を考慮に入れた水位計算予測モデルの検討
*山地 秀幸川﨑 将生土屋 修一一言 正之
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p. 100109-

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抄録
都市内中小河川の親水公園等における水難事故防止を目的に設置されている警報装置は、大雨・洪水注意報や警報の発表と連動して稼働していることが多い.この稼働状況について,横浜市いたち川の扇橋付近に設置されている警報装置の2013年における実績を整理した所,河川水位が平水位+50cmを超過するケースで事前に警報装置が稼働した「適中」が5事例であったのに対し,警報装置が事前に稼働しなかった「見逃し」が6事例,警報装置が稼働したが平水位+50cmを超過しなかった「空振り」が21事例であった.本研究では,国交省XRAINの雨量情報をもとにニューラルネットワークによる水位予測計算を行い、その結果を用いることで警報装置の稼働状況の改善を図ることが可能か、またその実用性について検討しており,今回はその中間報告として,ニューラルネットワークの中間素子数を複数変えた水位予測計算結果の特徴について報告するものである. 

ニューラルネットワークとは人間の神経回路を模倣して数理的にモデル化したものであり,学習データに基づいた予測であるため,学習データに類似した特性を持つ洪水の予測については比較的高い精度が期待できる一方、学習データに設定していない未経験の特性を持つ洪水の予測精度は不明である.本研究では,入力層・中間層・出力層の3層からなる階層型のネットワークを用いて,いたち川流域に位置する城山橋地点を対象に,ニューラルネットワークの中間素子数を複数変えて河川水位の予測計算を行った. 

警報装置が稼働した32事例からXRAIN雨量データの欠測期間を除いた30事例を対象に中間素子数を複数変えて予測計算を行った結果,RMSEの値が最も低い中間素子数は7,「適中」事例が最も多い中間素子数は6,「空振り」事例が最も少ない中間素子数は5と10, 「見逃し」事例が最も少ない中間素子数は4,8及び9であった.また,水位上昇時は「適中」事例が最も多い中間素子数による予測結果,「見逃し」事例が最も少ない中間素子数による予測結果を扱い,低減部についてはRMSEの値が最も低い中間素子数による予測結果,「空振り」事例が最も少ない中間素子数による予測結果を扱うことで,計算精度の改善が図られる可能性が示された.
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© 2015 水文・水資源学会
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