水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2017年度研究発表会
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【流域水管理・開発】
日本域を対象とした作物生産管理のための水稲成長モデルの開発
宮田 悠佑*吉弘 昌史*堀 智晴野原 大督
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p. 104-

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抄録
現在、世界の水消費のうち約7割が農業用水として使用されていると言われている。将来的な気候変動を考えた場合、河川流況の変化によって農業に影響が生じる可能性があるが、特に我が国では多量の灌漑用水を要する水稲栽培が盛んであるため、圃場に供給される水資源量を考慮しつつ作物生産管理を行うことは非常に重要な課題である。一方、気候変動により水資源だけでなく、栽培最適地・時期の変化といった作物生育そのものへの影響も考えられる。そのため、日本全国に渡って多品種の水稲を栽培している現在の農業事情を考慮すると、地域・品種の違いを考慮した水稲生産管理を行っていく必要がある。そこで本研究では、AquaCropをベースとして開発された作物成長モデルについて、一つのモデル内で複数の水稲品種を扱えるよう改良を行った。そして全都道府県を対象とした水稲成長シミュレーションを行い、モデル性能の検証ならびに生産環境がもたらす収量への影響評価を行った。本研究で得られた結果として、水稲生育が気温に大きく依存する既存のモデル構造に対し、日数による制約を加えることで多くの地域において収量計算の再現性が高まることが確認された。このことから、水稲の生育は日数による制約が強く、ある程度定められた生育期間が存在しており、その期間における気象条件に大きく収量が左右されることが示唆された。
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© 2017 水文・水資源学会
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