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現在、水資源量が比較的豊富な積雪山地流域において将来的な気候変動による水資源量の変化を検討し、その対策を講じておくことは重要である。そのため本研究では、東北地方と北海道地方の4つのダム流域を対象として、14年以上の期間に対して1時間単位計算の水循環解析を行い、水循環モデに含まれる貯留関数パラメータの最適値を特定し、その再現性を示す。その上で、GCM出力値(MIROC5,RCP8.5排出シナリオ)を用いて2080年以降のデータを反映させた水循環解析を行い、年水収支量として整理して現在値と将来値の変化を示した。相対誤差は20~30%程度であり概ね良好な再現性が得られた。そしてMIROC5のRCP8.5のGCM値を用い、将来流出解析を行い、年水収支量として整理し現在値との変化を表した。解析結果として、降雨量は増加するが降雪量が顕著に減少すること、地下水流出量及び蒸発散量が増加することを表した。