水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会/日本水文科学会 2022年度研究発表会
セッションID: OP-9-04
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降雪・融雪/雪氷
降雪の性状推定のためのドローン・地上降雪粒子観測
*竃本 倫平高見 和弥鈴木 賢士柴村 哲也
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キーワード: 降雪, 降水, ドローン
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抄録

鉄道車両床下への着雪・落雪は冬期の列車運行の安定性が損なうことがある.車両床下への着雪量は積雪表面の雪密度に依存しているため,新雪密度を精度良く推定することが重要である.新雪密度は地上付近での降水粒子の相状態や乾/湿によって大きくことなり,降雪粒子が落下する過程での融解を考慮する必要がある.上空での熱収支を考慮し,単一雪片の融解過程に関する計算モデル(以下,融解モデル)では,0ºC高度とその上空での雪片の粒径を初期値として,地上での降水粒子の粒径・落下速度・含水率を推定することが可能である(松尾・佐粧,1981).高見ら(2021)は, X-MPレーダを用いて融解モデルの初期値である0ºC高度と粒径を推定し,降雪の含水率の推定を行ったが, 0ºC高度以下の気温減率の与え方について検討の余地があることが示された.そこで,本研究では,融解モデルの精度向上・検証に資する観測データを取得することを目的として,融解層内の気温の鉛直プロファイルと降雪粒子の微物理情報を取得するため,南魚沼市で標高差観測を実施した.siteA(標高192m)には,マイクロレインレーダ,光学式ディスドロメータを設置した.また,siteAから気温計を搭載したドローンを用いて地上高150mまでの気温観測を実施した.siteB(標高340m)・siteC(標高502m)におんどとりを設置した.降雪粒子の微物理情報を取得するため,G-PIMMS(siteA)とRainscope(siteC)を設置し,降水粒子の画像を取得した.Rainscopeは上下に設置された二つの赤外線センサーにより降水粒子の落下速度を取得することが可能である.2022年2月20日に2回の観測を実施した.フライト①では, siteCで雪片が観測されていたが,部分的に融解している粒子がsiteAで観測された.ドローンを用いて地上150mまで25m間隔で気温を計測した結果,各高度での気温のばらつきが大きく,融解層内での固体降水粒子の融解に伴う熱交換によるものであると考えられる.フライト②では,siteA・siteCともに固体降水粒子が観測されており,フライト①と異なり各高度でのホバリング時の気温のばらつきが小さかった.今後,解析を進め,降雪粒子の融解の程度を定量的に評価し,融解層内の気温プロファイルとの関係について検討していく必要がある.

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© 2022 水文・水資源学会
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