2024 年 3 巻 1 号 p. 2-7
COPA症候群は,間質性肺炎や関節炎などを呈する常染色体顕性(優性)遺伝性の自己炎症性疾患である.細胞内におけるタンパク質の輸送に関与する遺伝子であるCOPA遺伝子のバリアントが疾患の原因であることが2015年に報告されたが,詳しい病態は明らかになっておらず,治療法も確立していない.近年,COPA症候群の遺伝子バリアントを導入した細胞株やモデルマウスを用いた解析により,COPA症候群の病態に細胞内DNAセンサー経路の過剰な活性化が関与していることがわかってきた.筆者らも,本邦で同定された,新規のCOPA遺伝子バリアントを導入したマウスにおいて,患者病態を再現させることができた.ここでは,患者の遺伝子バリアントを導入したモデルマウスを用いた解析を中心に,細胞内DNAセンサーシステムの破綻をきたす自己炎症性疾患の病態について最近の知見を概説する.