マクロファージ活性化症候群(macrophage activation syndrome:MAS)は,リウマチ性疾患に続発する二次性の血球貪食性リンパ組織球症(hemophagocytic lymphohistiocytosis:HLH)と定義され,免疫系の異常活性化とサイトカインストームとも呼ばれる炎症性サイトカインの過剰産生状態を基本病態とし,臨床的には,発熱,肝脾腫,血球減少,肝機能障害,高フェリチン血症,凝固障害,NK細胞活性の低下,骨髄での組織球の増殖と血球貪食像を呈する致死的な炎症病態である.MASはほぼすべてのリウマチ性疾患に続発するが,最も頻度が高い原因疾患は全身型若年性特発性関節炎(systemic juvenile idiopathic arthritis:s-JIA)である.s-JIAに続発するMAS病態では,IL-18の過剰産生により二次的に生じたNK細胞異常がMASの準備状態を形成するとともに,IFN-γの誘導とIL-10の産生抑制を介してMAS病態の形成に寄与していることが推測されている.血清IL-18値が異常高値を示しMASの臨床像を呈する先天性免疫異常症であるNLRC4異常症,X-linked inhibitor of apoptosis(XIAP)欠損症,neonatal-onset cytopenia with dyshematopoiesis, autoinflammation, rash and HLH(NOCARH)症候群の発見によってMASにおけるIL-18の重要性はさらに注目されるようになった.一方で,IL-18の過剰産生のみではMASの発症リスクの増加を説明できない可能性も示唆されており,この複雑な炎症病態の更なる病態解明が望まれる.
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