日本免疫不全・自己炎症学会雑誌
Online ISSN : 2435-7693
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巻頭言
総説
  • 金兼 弘和, 森谷 邦彦, 井澤 和司, 八角 高裕, 岡田 賢, 今井 耕輔
    2026 年5 巻1 号 p. 2-8
    発行日: 2026/08/07
    公開日: 2026/08/07
    ジャーナル 認証あり
     活性化PI3Kδ症候群 (APDS) はクラスIA PI3Kの触媒サブユニットp110δをコードするPIK3CDの機能獲得変異あるいはp110δの制御サブユニットであるp85αをコードするPIK3R1の機能喪失変異によって発症する原発性免疫不全症候群・先天性免疫異常症であり, 前者をAPDS1, 後者をAPDS2と称する. 臨床的には反復性気道感染, 進行性気道破壊, 気管支拡張症を特徴とし, 多くの患者でリンパ節腫大を認め, 高IgM血症や低IgG血症といった抗体産生不全症を呈する. 広義には分類不能型免疫不全症 (CVID) に含まれる. CVIDに準じて予防的抗菌薬投与や免疫グロブリン定期補充療法が行われるが, PI3Kシグナルの過剰活性化が病態の本体であることから, mTOR阻害薬のみならず, 選択的p110δ阻害薬が有用である. APDSは高率に悪性リンパ腫を合併し, 化学療法や造血細胞移植を必要とされることもまれでなく, 時には致死的経過をとることがある. 特異的治療としてmTOR阻害薬や選択的p100δ阻害薬を投与することが効果的なことがある. 「原発性免疫不全症候群を疑う10の徴候」に倣って作成された「APDSを疑う10の徴候」を参考にAPDSの早期診断を行い, 早期治療介入を行うことによって予後改善が望まれる.
症例報告
  • 図師 健太, 長澤 耕男, 村井 優志, 仲間 海人, 橋本 麗, 太田 昌幸, 平田 優, 佐藤 裕範, 山本 健, 中野 泰至, 高谷 ...
    2026 年5 巻1 号 p. 9-16
    発行日: 2026/08/07
    公開日: 2026/08/07
    ジャーナル 認証あり
     X 連鎖無ガンマグロブリン血症 (X-linked agammaglobulinemia : XLA) の46 歳男性, 気管支拡張症の合併がある. COVID-19 に罹患しモルヌピラビルで改善したが, 第16 病日に呼吸不全で当院を受診した. 胸部X 線写真で肺炎像を認めたため抗菌薬を開始したが呼吸不全は増悪し, 経過や画像所見より器質化肺炎と診断した. ステロイドと体外式膜型人工肺による治療で一時は改善したが, ステロイドを減量するたびに器質化肺炎の増悪を繰り返し, 長期間のステロイド投与を必要とした. 最終的に第93 病日に呼吸不全のため死亡した. 臨床的には3か月の経過であったが, 病理解剖では慢性的な組織学的変化はみられず急性期の炎症所見であった. また免疫組織学的にサイトメガロウイルス (CMV) 抗原が陽性だったことより, 直接死因はCMV 肺炎と診断した. XLA では細胞性免疫は保たれるが, 器質化肺炎に対する長期間のステロイド投与により細胞性免疫が抑制されCMV 肺炎に至ったと推察された. 入院中に行ったCOVID-19 の検査は全て陰性であったが, COVID-19 以外に器質化肺炎の原因が見つからなかったことより, 本症例はCOVID-19 の合併症として器質化肺炎を発症したと考えられた. 気管支拡張症が背景にあると器質化肺炎に対するステロイド治療の反応性が悪くなるため, 軽症例の報告が多いXLA 患者のCOVID-19 においても合併症の重症化に注意が必要である.
編集後記
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