日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
症例報告
再膨張性肺水腫に伴う重篤なhypovolemic shockの管理を行い救命した1症例
別府 賢小尾口 邦彦福井 道彦大澤 武井上 静香山田 知輝
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 14 巻 1 号 p. 61-64

詳細
抄録
再膨張性肺水腫 (reexpansion pulmonary edema, RPE) に伴う重篤なhypovolemic shockの管理を行い救命した1例を経験したので報告する。患者は47歳男性。受傷後11日目の外傷性気胸に対し, 胸腔ドレーン挿入を行った。激しい咳漱とともに呼吸循環が不安定となった。収縮期血圧が120mmHg, 心拍数80min-1であったものが収縮期血圧60mmHg, 心拍数120~140min-1となった。中心静脈圧は0mmHg, ヘマトクリットは32%から45%となった。Hypovolemic shockと考えられたため, 輸液の大量負荷を行い, 救命することができた。RPEによる呼吸不全は文献にも散見されるが, それに伴い重篤なhypovolemic shockを呈することはあまり知られていない。胸腔ドレーンを挿入する際は, RPEに伴う呼吸および循環不全に対応できる部署で行う必要がある。
著者関連情報
© 2007 日本集中治療医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top