日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
(1→3) -β-D-グルカン高値が遷延した食道手術後の深在性真菌症の2例
田家 諭別宮 小由理浅賀 健彦岩永 康之小野 純一郎澤登 慶治植木 正明前川 信博
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2007 年 14 巻 4 号 p. 603-608

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抄録
(1→3) -β-D-グルカン (以下, β-D-グルカン) 高値が遷延した食道手術後の深在性真菌症の2例を経験した。どちらも術後に, 発熱, CRP値上昇とともに培養でCandidaが検出され, β-D-グルカン高値により抗真菌薬の投与を開始したが, β-D-グルカン値はその後も上昇した。やがて臨床症状は軽快し抗真菌薬の投与を中止したが, β-D-グルカン高値は遷延した。抗真菌薬中止後, 臨床症状の再燃やβ-D-グルカン値の再上昇はみられなかった。今回経験した2症例においてβ-D-グルカン高値が遷延した原因としては, 真菌感染の継続あるいは偽陽性が考えられたが, そのいずれかは不明であった。しかし, 今回の2例および過去の報告より, 臨床症状の改善とβ-D-グルカン値の明らかな減少傾向がみられる場合, 必ずしもβ-D-グルカンが正常値まで回復していなくても, 抗真菌薬投与の中止は可能と考えられた。
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© 2007 日本集中治療医学会
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