日本集中治療医学会雑誌
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原著
集中治療領域におけるテイコプラニンの用法用量の検討
森川 記道冨田 隆志畝井 浩子武田 卓三宅 勝志山野上 敬夫谷川 攻一木平 健治
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2008 年 15 巻 4 号 p. 509-514

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抄録
【目的】集中治療領域におけるテイコプラニン(teicoplanin, TEIC)の適切な用法用量の検討。【方法】広島大学病院集中治療病棟においてTEIC投与を受けた非透析症例50例を対象に,患者背景,TEIC血清中トラフ濃度,臨床検査値を調査解析した。【結果】投与開始48時間後の血清中トラフ濃度が得られた症例では,従来の推奨投与法での目標とした10あるいは15μg·ml−1の到達率はそれぞれ40%および15%であった。血清中濃度推移のシミュレーションにより,初日投与量を600 mgあるいは12 mg·kg−1の2回投与に増量すると,投与開始24時間後の濃度がそれぞれ14.5±5.8,15.8±5.1μg·ml−1となり,速やかな治療濃度到達が期待できると推定された。また,腎機能障害患者5例でも,投与初期の血清中濃度推移は腎機能正常患者と大きな違いは認められなかった。【結論】集中治療領域でTEICを用いる場合,速やかな治療濃度到達のため,初期段階では腎障害の有無に関わらず高用量を用いることが必要と考えられる。
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© 2008 日本集中治療医学会
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