日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
尿管結石症から急速な経過で敗血症性ショック,播種性血管内凝固症候群となり救命できなかった一例
長門 優岩本 謙荘原山 信也岩田 輝男二瓶 俊一谷川 隆久相原 啓二蒲地 正幸
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2008 年 15 巻 4 号 p. 521-525

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抄録

尿管結石症から敗血症性ショック,播種性血管内凝固症候群となり救命できなかった一例を経験した。症例は85歳女性。尿路感染症を疑われ近医に入院したが,翌日にショックとなり当院に紹介された。当院搬送時すでに多臓器機能不全の状態であった。血中エンドトキシン値の上昇と,CTにて左尿管結石,左水腎症を認め,結石嵌頓による敗血症と診断した。呼吸循環管理に加え,経尿道尿管カテーテル留置,エンドトキシン吸着および持続血液濾過透析を行ったが,ICU入室2日目に死亡した。血液・尿培養のいずれからもEscherichia coliE. coli)が検出された。当院で過去5年間に経験した尿管結石症から敗血症へ移行した10症例のうち,死亡例は本症例のみであった。原因として,高齢であったこと,全身性炎症反応症候群が遷延し重症化したことに加え,抗生物質によりグラム陰性菌からエンドトキシン遊離が助長された可能性が考えられた。

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© 2008 日本集中治療医学会
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