2009 年 16 巻 1 号 p. 21-26
過去に報告された無作為化比較試験(randomized controlled trial, RCT)で有効であるとされた治療法が,その後に行われたRCTで否定されることがある。その原因として,過去のRCTが有意差の得られやすい条件で施行されていることが挙げられる。RCTは,この条件を踏まえた上で考察することが重要である。その三要素として,(1)subgroup analysis, (2)single center open label study, (3)early terminationが挙げられる。(1)Subgroup analysisは,統計学的検討回数を増やすことで,(2)single center open label studyは,ホーソン効果と治療の浸透性により,(3)early terminationは,random highと統計学的検討回数の増加により,偽陽性の確率を高める。これらの手法を用いて得られたRCTの結果は,慎重に吟味する必要がある。