日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
急激にseptic shockを呈し死に至った黄色ブドウ球菌,緑膿菌の混合感染による劇症型細菌性髄膜炎の1例
林田 敬藤島 清太郎宮木 大池田 雄一郎相川 直樹
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2009 年 16 巻 1 号 p. 57-60

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抄録
症例は57歳の男性。頭部外傷の既往なし。受診日前日に軽度の頭痛が出現したが,自宅で様子を見ていた。翌朝,異常に気付いた妻が救急要請し,搬送された。搬送時,発熱を伴うショック状態であり,septic shockを想定して,原因検索と大量輸液療法を開始するも,循環動態の急激な悪化を認め,外来にて心肺停止となった。心肺蘇生術を施行し,心拍は直ぐに再開するも,ショック状態は持続した。来院2時間後の血液検査では,急激なdisseminated intravascular coagulation (DIC)の進行を認めた。ICUへ入室し,septic shock,DICに対し,meropenem,ステロイド,免疫グロブリンなどの投与を行った。しかし,原因菌不明のまま,病状の急激な進行を認め,来院22時間後に死亡した。検死の結果,黄色ブドウ球菌,緑膿菌による髄膜炎を認め,細菌性髄膜炎から,sepsis,DICに至り,多臓器不全にて死亡したと考えられた。成人の細菌性髄膜炎は,日常診療において遭遇する機会は少ないが,急激にseptic shock,DICなどの臓器不全に至り死亡する例があるので,注意が必要である。
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© 2009 日本集中治療医学会
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