抄録
尿路感染症に起因する敗血症性ショックについて検討した。検討項目は年齢,性,泌尿器科疾患名,血液・尿培養,血液検査,acute physiology and chronic health evaluation II(APACHE II)スコア,sepsis-related organ failure assessment(SOFA)スコア,使用抗菌薬,泌尿器科的処置,ICU在室期間,転帰などとした。対象15例の男女比は4:11であった。年齢は24~86歳(65±14歳),泌尿器科疾患は腎・尿管結石による尿路閉塞が11例,急性前立腺炎が2例,腎膿瘍,膀胱破裂が各1例であった。血液培養は12例が陽性で,10例がグラム陰性桿菌(Escherichia coli 7例),2例がグラム陽性球菌であった。血液・尿培養の検出菌が一致するウロセプシスは9例に認められた。APACHE II スコアは11~35(22±6),SOFAスコアは7~19(11±3)であった。人工呼吸は6例で施行された。カルバぺネム系(11例)を中心とした抗菌薬療法と尿管ステントなどの外科的処置に対する反応はよく,全例がICUを軽快退室した。尿路性敗血症の転帰が良好な理由として,画像診断が比較的容易であり,これが迅速な治療に直結していることによるものと考えられた。