日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
敗血症性ショックの改善後にCT再検で偶発的に診断された気腫性腎盂腎炎の1例
武居 哲洋濱 義人伊藤 敏孝竹本 正明
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2009 年 16 巻 4 号 p. 487-491

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抄録
気腫性腎盂腎炎は,外科的治療を要する致死的感染症である。急性腎盂腎炎との鑑別は困難だが,ほぼ全例で糖尿病を合併しており,とくにコントロール不良の糖尿病患者に多く発症する。診断にはCTが最も有用とされる。69歳の男性が嘔吐と腹痛を主訴に当院に搬送され,敗血症性ショック,播種性血管内凝固症候群,急性腎不全,高血糖症を呈していた。腹部CTで左腎盂腎炎と診断した。HbA1cが12.6%と著増していたため,気腫性腎盂腎炎を疑いCT画像を見直したが,ガス像を認めなかった。集中治療により敗血症性ショックは一時的に改善したが,発作性心房細動に続いて急激な腹痛と低酸素血症の増悪をみた。腸間膜動脈塞栓症を念頭におきCTを再検したところ,偶発的に気腫性腎盂腎炎と診断され,左腎摘出術により救命しえた。重症糖尿病患者の尿路感染症に敗血症性ショックを合併した場合,たとえ初期治療に効果がみられても気腫性腎盂腎炎を念頭におきCTを再検すべきである。
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© 2009 日本集中治療医学会
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