抄録
【目的】乳児心肺蘇生で,実際の胸骨圧迫の深さが目標値に到達しているかを検証する。【対象】American Heart Association–Basic Life Support/Pediatric Advanced Life Support(AHA-BLS/PALS)プロバイダーである国立成育医療センターレジデント10名。【方法】乳児の胸骨圧迫計測モデルを用いて,胸郭前後径の3分の1(33 mm)を目標とした際の圧迫の深さを測定した。また,圧迫後に結果を知らせ,再度圧迫を行って結果を比較した。【結果】圧迫の深さは30.0±4.2 mmと不十分で,分散も大きかった。フィードバック後は32.4±1.5 mmと分散も小さくなり,統計学的有意差をもって改善した(P=0.016)。【結論】乳児心肺蘇生では,実際の胸骨圧迫の深さは目標値よりも浅くなるが,その結果をフィードバックすることで圧迫の深さが有意に改善することが示された。質の高い乳児心肺蘇生を実施するためには,指導者が的確なフィードバックを加え,実施者は十分な深さの圧迫を確認することが不可欠である。