日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
急性心筋炎の治療中に診断された成人型Still病の一例
虎岩 知志斎藤 浩二吾妻 俊弘星 邦彦
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2011 年 18 巻 1 号 p. 101-104

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抄録
成人型Still病は,全身性の炎症疾患で多臓器に合併症をきたす。合併症としては心外膜炎や胸膜炎が多く,心筋炎は稀である。今回,急性心筋炎の経過中に成人型Still病と診断された症例を経験した。症例は39歳,男性。下痢,嘔吐,倦怠感で発症した。翌日,心電図検査での広範なST上昇とトロポニンTの上昇を認めたが,冠動脈の有意な狭窄は認めなかった。胸水貯留,低酸素血症が進行し,人工呼吸管理,intra-aortic balloon pumping(IABP)を開始した。急性心筋炎の疑いでICUへ入室し,直ちにpercutaneous cardiopulmonary support(PCPS)を装着した。心機能は早期に改善し,ICU入室3日目にPCPS,4日目にIABPから離脱できたが,頻呼吸のため人工呼吸を継続した。5日目に紅斑が全身に出現した。感染症や悪性疾患を除外後,成人型Still病と診断された。14日目の副腎皮質ステロイドの投与開始後,解熱し,頻呼吸は改善した。20日目に人工呼吸器から離脱し,23日目にICUを退室した。
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© 2011 日本集中治療医学会
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