日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
小児の抜管後上気道狭窄に対するヘルメット型マスクを用いた非侵襲的陽圧換気療法の経験
菊池 忠垣花 泰之中原 真由美岡山 奈穂子今林 徹安田 智嗣上村 裕一
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2011 年 18 巻 1 号 p. 95-99

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抄録
患者は5歳の男児。発熱,嘔吐,痙攣が出現したため近医へ救急搬送され,抗痙攣薬投与,気管挿管後に,新型インフルエンザ脳症の診断にて当院へ紹介搬送された。ICUにて鎮静下に人工呼吸管理,および脳浮腫に対する治療を開始した。その後痙攣はみられず,第7病日,デクスメデトミジンのみ投与しながら覚醒させ抜管した。しかし,抜管直後より上気道狭窄音,陥没呼吸,努力性呼吸,頻呼吸を認めたため,ヘルメット型マスクCASTER“R”小児用を装着し非侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation, NPPV)を開始したところ,呼吸状態はすぐに改善した。エア・リークはほとんど認めなかった。患児が嫌がる様子はなく,意志疎通も可能であり,声もはっきりと聞き取れた。翌日NPPVから離脱でき,再挿管を回避できた。ヘルメット型マスクは圧迫感がなく,小児でも受容性が高いため,小児にNPPVを施行する際に有用なデバイスとなることが示唆された。
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© 2011 日本集中治療医学会
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