抄録
患者は5歳の男児。発熱,嘔吐,痙攣が出現したため近医へ救急搬送され,抗痙攣薬投与,気管挿管後に,新型インフルエンザ脳症の診断にて当院へ紹介搬送された。ICUにて鎮静下に人工呼吸管理,および脳浮腫に対する治療を開始した。その後痙攣はみられず,第7病日,デクスメデトミジンのみ投与しながら覚醒させ抜管した。しかし,抜管直後より上気道狭窄音,陥没呼吸,努力性呼吸,頻呼吸を認めたため,ヘルメット型マスクCASTER“R”小児用を装着し非侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation, NPPV)を開始したところ,呼吸状態はすぐに改善した。エア・リークはほとんど認めなかった。患児が嫌がる様子はなく,意志疎通も可能であり,声もはっきりと聞き取れた。翌日NPPVから離脱でき,再挿管を回避できた。ヘルメット型マスクは圧迫感がなく,小児でも受容性が高いため,小児にNPPVを施行する際に有用なデバイスとなることが示唆された。