日本集中治療医学会雑誌
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原著
全身性炎症反応症候群による頻脈性心房細動に対するランジオロールの有効性
辻田 靖之山根 哲信浜本 徹早藤 清行藤野 和典松村 一弘五月女 隆男江口 豊
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2011 年 18 巻 4 号 p. 575-582

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抄録
【目的】全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome, SIRS)では,頻脈性心房細動となり治療に難渋することがある。本研究ではSIRSによる頻脈性心房細動に対するランジオロールの効果を検討した。【方法】過去3年間にSIRSによる頻脈性の発作性心房細動に対して,ランジオロールを投与した術後症例16例で心拍数と血圧を,うち9例で血行動態を後ろ向きに調べた。また,過去3年間のSIRS患者の頻脈性の発作性心房細動に対するランジオロール,ジゴキシン,シベンゾリン,ベラパミルの効果を後ろ向きに調べた(計63例)。【結果】ランジオロール投与により心拍数は大きく低下し,血圧は軽度低下した。心係数は低下し,一回拍出係数は増加した。また,ランジオロールは他剤より心拍数低下作用が強く,血圧低下作用は同等であった。除細動効果はジゴキシン,ベラパミルより高く,シベンゾリンに匹敵した。【結論】SIRSによる頻脈性の発作性心房細動に対してランジオロールは有効であった。
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© 2011 日本集中治療医学会
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