日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
ヘパリン起因性血小板減少症が疑われアルガトロバンを用いて経皮的心肺補助を施行した1症例
熊澤 淳史方山 真朱大江 恭司湯澤 紘子伊藤 史生糟谷 美有紀伊良部 徳次
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2011 年 18 巻 4 号 p. 611-615

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抄録

ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia, HIT)が疑われた患者に対して経皮的心肺補助(percutaneous cardiopulmonary support, PCPS)維持のためアルガトロバンを長期間投与した症例を経験した。本症例ではヘパリン依存性自己抗体(HIT抗体)は陰性であったが,HITが疑われる症例ではHIT抗体の結果を待たず,ヘパリン投与を中止し代替抗凝固療法を開始するべきとされている。HITに対してアルガトロバンは有効とされるが,体外循環維持のためのアルガトロバンの有効性,使用法は確立されていない。今回,ヘパリン使用時と同程度のactivated clotting time(ACT)を目標としてアルガトロバン投与量を調節し,15日間PCPSを施行したが,血栓形成や出血を認めず,安全に使用できた。HIT症例において体外循環を必要とする場合,ACTの目標値にはさらなる検討が必要であるが,抗凝固薬としてアルガトロバンが有効と考える。

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© 2011 日本集中治療医学会
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