日本呼吸療法医学会危機管理委員会,日本集中治療医学会新生児小児集中治療委員会,同学会新型インフルエンザ調査委員会が共同で,2010年度インフルエンザ重症症例を集積した(44例)。内訳は,小児症例19例,成人症例25例であった。小児症例では死亡例はなかったが,成人症例の死亡率は52%であった。小児症例では成人症例に比較し,(1)人工呼吸日数(小児6日,成人12日),ICU滞在日数(小児7日,成人17日),在院日数(小児14日,成人26日)が短かった,(2)意識障害が多かったが,多臓器不全の合併は少なかった,(3)extracorporeal membrane oxygenation(ECMO)は1例(生存)のみであった(成人14例,生存率36%),(4)PEEP/peak inspiratory pressure(PIP)最高値は相対的に低かった(小児8/25 cmH2O,成人19/30 cmH2O),(5)高用量ステロイド投与症例は少なかった(小児32%,成人56%),(6)シベレスタットの使用例はなかった(小児0%,成人52%),などの特徴があった。