日本集中治療医学会雑誌
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総説
重症患者に対する解熱処置
江木 盛時森田 潔
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2012 年 19 巻 1 号 p. 17-25

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抄録

【背景】重症患者に施行される解熱処置について,その有益性は明らかでない。【方法】解熱処置が重症患者に与える影響に関して系統的レビューを行う。【結果】解熱処置が重症患者に与える影響を検討した研究は16文献あった。これらの文献から以下の見解を得た。(1)解熱効果は大きくばらついている。(2)解熱処置開始体温は統一されていないが, 半数の文献で38.5℃としている。(3)解熱処置で体温が低下すれば,心拍数・分時換気量・酸素消費量が減少する。(4)薬物を使用した解熱処置により血圧が低下する。(5)解熱薬による生理学的パラメータの改善が,患者予後の改善をもたらすかを十分な検出力で検討した介入試験は存在しない。【結語】解熱処置により呼吸・循環・代謝負荷が軽減されるが,解熱処置の臨床的予後改善効果を示した研究は存在しない。解熱処置の有益性・有害性について結論を出すためには,異なる解熱戦略を比較した無作為化比較試験が必要である。

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