日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
A群β溶血性レンサ球菌肺炎から劇症型溶血性レンサ球菌感染症,急性膿胸を合併した1症例
佐藤 智洋七戸 康夫硲 光司笠井 丈博
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2013 年 20 巻 1 号 p. 83-87

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抄録
A群β溶血性レンサ球菌肺炎が劇症化し,さらに急性膿胸を合併して治療に難渋した症例を経験したので報告する。症例は27歳,女性。生来健康。2011年1月下旬より感冒症状あり,近医で内服治療を受けていた。2月に近医を受診し急性咽頭炎の診断を受けたが,夜間になって呼吸苦が出現し急性肺炎と診断され緊急入院となった。翌日,多臓器障害の進行を認めたため,当院救命救急センター転院となった。臨床所見,検査結果から劇症型溶血性レンサ球菌感染症と診断,治療を開始した。その後,全身状態は安定したが,急性膿胸の合併を認めた。胸腔ドレナージを施行したが改善せず,第19病日に胸腔鏡下膿胸腔掻爬術を施行した。胸膜肥厚による肺拡張障害を認めたが,徐々に改善し第35病日に退院となった。肺炎に起因する劇症型溶血性レンサ球菌感染症では,急性膿胸の併発を念頭に置く必要があるが,その早期治療に関しては今後さらなる検討を要する。
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© 2013 日本集中治療医学会
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