日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
経肺熱希釈法の容量指標をもとに全身管理を行った卵巣過剰刺激症候群の一例
寺田 統子上原 健司田邉 優子後藤 隆司鷹取 誠多田 恵一
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2014 年 21 巻 1 号 p. 29-33

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抄録
卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome, OHSS)は排卵誘発薬により血管透過性亢進をきたす医原性疾患である。OHSSに対し血管透過性を定量的に評価した報告はなく,今回,連続心拍出量測定装置PiCCO®(Pulsion Medical Systems, Germany)を用いて評価したので報告する。症例は30歳,女性。不妊治療により妊娠しOHSSにて加療中,胸腹水が増加し入院11日目に心肺停止となった。蘇生後,高PEEPを併用した人工呼吸管理を開始した。ICU入室時,肺血管外水分量係数24.8 ml/kg,肺血管透過性係数5.8と著明に増加していた。呼吸・水分管理を行い,PiCCO®測定値の正常化とともに呼吸状態は改善し,入室4日目には人工呼吸器を離脱した。PiCCO®による血管透過性の定量評価は,OHSS患者の病態理解に有用と考えられた。
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© 2014 日本集中治療医学会
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