日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
症例報告
劇症型心筋炎に対して経皮的心肺補助装置とステロイド療法を併用し,回復期に2度の穿刺部合併症を経験した一例
城 祐輔田中 誠北島 龍太酒井 正憲新村 大輔小浦 貴裕浦中 康子根岸 耕二
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 21 巻 1 号 p. 43-47

詳細
抄録
症例は21歳男性。感冒様症状が先行した急性心筋炎の診断で当院へ搬送された。来院時心原性ショックを認め,人工呼吸管理下に大動脈内バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping, IABP),カルペリチド,ステロイド短期大量投与を開始した。しかし第12病日に心停止となり,経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support, PCPS)を導入した。また脳保護を目的に脳低温療法を開始した。その後順調に経過し,第16病日にPCPSより離脱に成功したが,第24病日と第29病日に左鼠径部の血管縫合部より拍動性の出血を認め,2度の緊急血管形成術を行った。送血カニュレーションを行った左浅大腿動脈は感染に伴い一部壊死しており,同部位を切除した後に欠損部位に対して右下腿より採取した大伏在静脈をパッチとして被覆し再建した。切除標本の病理組織像では感染した動脈壁に炎症細胞の浸潤を認めず,高用量ステロイド投与の影響等が考えられた。慎重にリハビリテーションを行い,第73病日に独歩退院した。
著者関連情報
© 2014 日本集中治療医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top