日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
ソフトドリンクケトーシスにより心停止を来した1例
垂石 智重子上松 友希酢谷 朋子高田 基志鈴木 照
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2014 年 21 巻 1 号 p. 39-42

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抄録
若年2型糖尿病に合併した糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoasidosis, DKA)により心停止を来した症例を経験した。症例は35歳,男性。2型糖尿病に対し内服治療を受けていた。全身倦怠感を訴え近医に往診を依頼した。診察中に意識消失したため当院救急外来に搬送された。到着後心停止となったが,31分間の心肺蘇生にて自己心拍が再開しICU入室となった。ICU入室時,著明な高カリウム血症と低ナトリウム血症,高血糖を認め,さらに浸透圧利尿による血液濃縮を認めた。軽度低体温療法を施行しつつ,血糖,電解質補正および循環管理を行った結果,第13病日に症状改善し,ICUを退室した。2型糖尿病は本来ケトーシス抵抗性であるが,本症例では清涼飲料水の多飲により,いわゆるソフトドリンクケトーシスを引き起こし,それに伴うアシドーシスなどが誘引となり高カリウム血症を来し心停止に至ったと考えられた。
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© 2014 日本集中治療医学会
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