日本集中治療医学会雑誌
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総説
集中治療を要する重症妊産婦の疫学と病態生理学的特徴
青山 和由青山 紘子大島 正行
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2014 年 21 巻 2 号 p. 137-146

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抄録
妊産婦死亡が未だ少なからず存在する。1人の妊産婦死亡あたり,9人の重症妊産婦が発生している。しかし,通常ICUで妊産婦が占める割合は約1.5%と比較的稀である。稀な症例に対応するには,頻度の高い疾患(妊娠高血圧症候群,産科出血,産科関連敗血症)を把握しておく必要がある。一般的に,集中治療を要する重症妊産婦において,これら3疾患がICU入室理由の70%近くを占める。また,妊娠に伴う生理学的変化は,多臓器にわたって予備力を小さくし,非妊娠時に比べより重篤な状態に陥りやすくする。上記3疾患と生理学的変化の関連を理解することは,病態の把握に重要となる。そして,生理学的予備力の減少は胎児をも容易に危機的状況へと曝してしまう。集中治療医が重症妊産婦および胎児の予後改善に貢献するには,重症妊産婦の疫学と特有疾患を知り,妊娠に伴う多臓器の生理学的変化を把握し,胎児危機に陥る病態を早期に認識することである。
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© 2014 日本集中治療医学会
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