日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
急性肺水腫をきたした著明な心嚢液貯留を伴う心外膜原発脂肪腫の1例
竹内 庸浩高田 昌紀
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2014 年 21 巻 3 号 p. 263-267

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抄録
症例は60歳,男性。生来健康である。突然の呼吸困難を主訴に当院へ救急搬送された。高度な意識障害,全身チアノーゼ,低酸素血症を認め,ICUへ収容し人工呼吸管理とした。胸部X線写真で,心胸郭比80.0%の心拡大と全肺野にうっ血を認めた。心エコー図にて,多量の心嚢液貯留を認め,心嚢ドレナージを施行した。第3病日に心嚢ドレーンを抜去するも心嚢液の再貯留により呼吸および循環動態の悪化をきたし,心嚢ドレーンを再留置した。呼吸状態は改善し第11病日,抜管した。心臓CTおよびMRI検査で,右室前方に3 cm大の心臓腫瘍を認めた。第32病日,開胸手術を施行した。右房室間溝に3 cm大の腫瘍を認め腫瘍切除を施行した。リンパ液の漏出が持続的に認め心膜開窓術も施行した。病理組織所見で脂肪腫と診断された。経過良好で第40病日独歩退院した。心外膜脂肪腫が著明な心嚢液の貯留から呼吸不全をきたすことは極めて稀である。
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© 2014 日本集中治療医学会
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