抄録
重症頭部外傷にひき続いて生じたparoxysmal sympathetic hyperactivity(PSH)の2症例を経験した。2症例はいずれもGlasgow come scale(GCS)4で来院した交通事故の患者であり,頭蓋内圧管理を含む神経集中治療を行った。1例は第7病日から,もう1例は第1病日からPSHが生じた。頭蓋内環境を改善させ全身状態を良好に維持するために,異常高血圧や高体温をコントロールすることが必要となり,ICU管理が長期化したが,ガバペンチンの投与によってPSHを抑えることに成功した。本邦におけるPSHの報告例は多くないが,認識不足が背景にある可能性がある。集中治療医はPSHの病態を十分に認識する必要がある。