抄録
肺気腫にて近医通院中の76歳男性。高度の低酸素血症にて当院搬送,肺炎,膿胸と診断,呼吸状態の悪化が見られたため,人工呼吸管理となった。その後急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome, ARDS)を合併,CO2の貯留も見られたため,人工呼吸器の設定をbilevel positive airway pressure(BIPAP)モード,吸気圧30 cmH2O,呼吸回数35 /minとしたが,PaCO2 58.6 mmHg,pH 7.201とCO2貯留,アシドーシスの改善は見られなかった。これに対しextracorporeal CO2 removal(ECCO2R)を導入,その後3時間でPaCO2 38.1 mmHg,pH 7.396と改善が見られた。ECCO2Rは第6病日に離脱,第11病日には抜管となった。CO2管理が困難なARDS症例に対し,ECCO2Rは有効であると考えられた。