日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
除神経過敏へのノルアドレナリン投与で心室頻拍をきたした重症パーキンソン病の1例
宮本 和幸田中 幸太郎田中 俊生井手 亮太萩原 祥弘福田 賢一郎三宅 康史有賀 徹
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2015 年 22 巻 1 号 p. 38-41

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抄録
パーキンソン病(Parkinson's disease, PD) は自律神経症状を合併する多系統変性疾患である。近年,心臓交感神経の除神経過敏が証明されたが,PDの血管作動薬使用については十分に理解されていない。症例は78歳,男性。強い下腹部痛,発熱を主訴に搬送された。偽性腸閉塞に伴う敗血症性ショックと診断し,経肛門ドレナージ,輸液,抗菌薬投与を行った。しかし,徐々に血圧が低下したためノルアドレナリン(noradrenaline, NA)投与を開始した。直後から心室性期外収縮が頻発し,NA増量に伴い心室頻拍となり,さらに血圧が低下した。NAからバゾプレッシン(vasopressin, VP)に変更したところ,不整脈は著明に減少し,ショックから離脱できた。PDでは早期から心臓交感神経が障害される。除神経過敏を合併するPDでは,アドレナリン受容体を介さないVPへの早期変更を考慮すべきと考える。
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© 2015 日本集中治療医学会
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