日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
Permissive hypoxemiaを併用して救命できたレジオネラ肺炎による重症急性呼吸促迫症候群の2例
南 絵里子石川 友規三枝 秀幸川上 直哉岩崎 衣津小林 浩之實金 健時岡 宏明
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2016 年 23 巻 2 号 p. 158-162

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抄録
レジオネラ肺炎はときに重症化して治療に難渋する。我々はレジオネラ肺炎による重症急性呼吸促迫症候群の2例をpermissive hypoxemiaを併用して救命できた。症例はいずれも尿中抗原によりレジオネラ肺炎と診断して,レボフロキサシンを静脈内投与した。症例1は59歳男性でP/F比は64,症例2は64歳男性でP/F比は58まで低下した。人工呼吸は圧支持換気により吸気終末プラトー圧を25 cmH2O前後に保った。FIO2は0.6~0.7を目標にSpO2 88%,PaO2 50 mmHg前後を許容した。臓器の虚血症状と代謝性アシドーシスの進行はなく,数日で酸素化は改善傾向を示してその後抜管した。レジオネラ肺炎は,抗菌薬が奏功するまでの人工呼吸管理が予後を左右する。肺保護戦略の低い気道内圧と高濃度酸素投与を回避するpermissive hypoxemiaにより,臓器障害を起こすことなく救命し得た。
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© 2016 日本集中治療医学会
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