日本集中治療医学会雑誌
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原著
小児重症急性細気管支炎に対するheliox吸入療法パイロットスタディ
阿部 世紀庄司 康寛佐藤 公則天笠 俊介北村 真友笠井 正志松井 彦郎中村 友彦
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2016 年 23 巻 6 号 p. 633-640

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抄録

【目的】小児の重症急性細気管支炎に対してヘリウム酸素混合ガス(heliox)を吸入させることにより,PICU滞在期間を短縮可能か,heliox吸入療法の安全性とともに前方視的に検討した。【方法】2012年11月から2014年12月までに急性細気管支炎の疑いでPICUに入室し,人工呼吸管理を受けた2歳未満の患者に,helioxを投与した(H群)。ヒストリカルコントロールとして,2010年4月から2012年3月までの同様の患者を選択した(C群)。【結果】H群は10例,C群11例であった。PICU滞在期間はH群4.7±1.1日,C群8.6±2.8日で,H群が有意に短かった(P<0.005)。同様に気管挿管期間は,H群3.8±1.4日,C群7.6±2.8日で,H群が有意に短かった(P<0.005)。バイタルサイン,血液ガス,血液生化学および血液一般検査に異常変動はなく,有害事象もなかった。【結論】Heliox吸入療法は,安全に重症急性細気管支炎患者のPICU滞在期間と気管挿管期間を短縮できる可能性がある。

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© 2016 日本集中治療医学会
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