日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
三次救急医療施設で経験した急性心筋炎18例の治療成績
麻喜 幹博磯貝 俊明田中 博之手島 保
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2016 年 23 巻 6 号 p. 641-646

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抄録

急性心筋炎の中には経過中に循環動態が破綻し致命的となる劇症型心筋炎が存在し,経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support, PCPS)を導入して急性期をいかに乗り切れるかが重要となる。しかし,急性心筋炎自体が稀な疾患であり,治療成績を詳細に述べた報告は少ない。今回,当院で2003年4月から2013年11月までに経験した急性心筋炎18例について,年齢・性別・入院時バイタルサイン・入院時検査所見・入院後の治療法・院内予後について調査した。経過中に心原性ショックを呈した急性心筋炎8例中,循環動態破綻によりPCPSが必要と判断された劇症型心筋炎は6例であった。2例は来院直後に心停止に陥り,3例は来院後6時間以内に心原性ショックを呈した。1例は入院6日後に心原性ショックを呈した後に循環動態が破綻した。急性心筋炎のうち,入院後早期に心原性ショックに陥る症例はPCPSが必要となる可能性が高いと考えられた。

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