日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
機械的胸部圧迫装置AutoPulse®を用いた心肺蘇生後に外傷性肝損傷・脾損傷を認めた一例
宮﨑 勇輔小尾口 邦彦福井 道彦加藤 之紀和田 亨横峯 辰生小田 裕太大手 裕之
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2018 年 25 巻 4 号 p. 255-258

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抄録

肺血栓塞栓症による心停止に対し,機械的胸部圧迫装置が有用であったが,外傷性肝・脾損傷を併発し,開腹手術が必要となった症例を経験した。症例は73歳女性で,呼吸困難感を主訴に救急搬送され,来院後に心停止となった。直ちに心肺蘇生を開始,機械的胸部圧迫装置AutoPulse®(旭化成ゾールメディカル)を使用した。気管挿管・アドレナリン投与を行い自己心拍再開が得られた。心停止は肺血栓塞栓症によるものと診断した。ICU入室後は,血行動態は比較的保たれていたが,約15時間後から不安定となり,貧血の進行も認めた。腹部超音波検査・CTを実施し,多発肋骨骨折に伴う外傷性肝・脾損傷による出血性ショックと診断した。開腹し,脾臓摘出術と肝裂創部凝固止血術を実施した。症例は肥満(BMI 38 kg/m2)だったこともあり,AutoPulse®のバンド位置が尾側にずれ,合併症を生じたものと推測された。機械的胸部圧迫装置の使用では特性を十分理解し,合併症に注意する必要がある。

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© 2018 日本集中治療医学会
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