栄養療法は幾多の変遷を経て,現在では各種ガイドラインにて静脈栄養より経腸栄養が推奨されている。その有効性は腸管という臓器の構造・機能の維持や,bacterial translocationといった感染予防において,数多くの基礎研究によって裏付けられている。一方,その投与開始のタイミングは24〜48時間以内の早期が推奨されているが,臨床研究では48時間以降の開始や静脈栄養に対する有効性は必ずしも示されておらず,本邦ガイドラインにも予後改善効果について“但し書き”が付けられている。栄養療法のタイミングのみならず,対象患者,投与量,評価方法と検討の余地は多い。本稿では,早期経腸栄養の有効性・限界・今後への理解を深めて頂き,“earlier is better”について考える一助となれば幸いである。