日本集中治療医学会雑誌
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総説
急性血液浄化療法に用いられる血液濾過器(hemofilter)の現状と今後の可能性について
山下 芳久塚本 功
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2019 年 26 巻 6 号 p. 423-429

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抄録

救急・集中治療領域における急性血液浄化療法は,単に急性ならびに慢性腎疾患に対する腎補助だけでなく,炎症性サイトカインや捕体をはじめとする各種メディエータを制御する目的で積極的に導入されている。急性血液浄化技術のなかでも,最も実施頻度が高い持続的血液浄化療法(continuous blood purification, CBP)において血液濾過器(hemofilter)は必須のデバイスであり,いくつかの種類が使用されている。CBPのモダリティ選択ならびに設定条件は,施行される患者の全身状態に対する改善や必要な効率を達成するために重要であり,hemofilterはそのうちの重要なキーポイントの一つであると考えられる。現在市販されているhemofilterはバリエーションが豊富で,長時間使用しても溶質除去性能や抗血栓性に対する専用設計がされていることに加え,膜材質によっても透析性能や濾過性能そして吸着性能が異なるところに特徴が強く示されており,我々はそれらを臨床において効果的に選択し使用するべきである。そこで,本稿では各hemofilterの膜素材の特徴として,透析性能,濾過性能,吸着性能,そしてlife-timeについてこれまでの知見を踏まえて整理し,急性血液浄化技術と今後の可能性を言及する。

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© 2019 日本集中治療医学会
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