2020 年 27 巻 2 号 p. 129-149
今回,日本集中治療医学会臨床倫理委員会は,蘇生不要(Do Not Resuscitate, DNRまたはDo Not Attempt Resuscitation, DNAR)〔以下,DNR(DNAR)〕指示の理解と運用,蘇生以外の医療行為の差し控えなどへの影響,各ガイドライン,DNAR指示のあり方についての勧告(以下,DNAR勧告)の周知,使用状況について医師会員にアンケート調査をして,2016年の調査と比較した。その結果,施設の体制やDNR(DNAR)指示の実務には変化はみられないが,医師の考えには一定の変化がみられた。それは,2016年の調査に比べて蘇生以外の医療を差し控えると答えた回答者が有意に少なく,特にDNAR勧告を読んだ回答者で,読んでいない回答者に比べて有意に少なかった。一方で,各ガイドラインについての理解は十分でなく,あらためて周知が必要と考えられた。