日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
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ISSN-L : 1340-7988
27 巻, 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
編集委員会より
今号のハイライト
症例報告
  • 一瀬 麻紀, 岡田 保誠, 稲川 博司, 小島 直樹, 山口 和将, 佐々木 庸郎, 有野 聡, 杉田 学
    2020 年 27 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル フリー

    酸化マグネシウム(MgO)は下剤として頻用されており,多くの症例で安全に使用されているが,稀に高マグネシウム(Mg)血症を生じることがある。症例は60歳,男性。統合失調症で抗精神病薬とMgO 2 g/dayを内服していたが,来院13日前から排便がなかった。来院当日,排便後に昏睡・低血圧となり当院へ搬送された。各種検査では血清Mg値20.2 mg/dLであり高Mg血症による意識障害,循環不全と診断した。カルシウム製剤の持続投与と血液透析を行い血清Mg濃度は低下し,症状は改善した。抗精神病薬投与中は,抗コリン作用の腸管蠕動低下に伴うMg製剤の腸管内停滞によりMgの吸収率が高まり,高Mg血症をきたすことがある。抗精神病薬を服用中の患者では,たとえ常用量のMg製剤の内服でも,注意深い臨床症状の経過観察および血清Mg濃度のモニタリングが必要であると考えられた。

  • 吉田 美苗, 長谷川 智巳, 金子 尚樹, 黒澤 寛史
    2020 年 27 巻 2 号 p. 104-108
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル フリー

    【目的】大動脈弓再建術を要する先天性心疾患児は,術後に声帯麻痺(反回神経麻痺)を合併することが多い。従来から喉頭内視鏡によって診断がなされているが,今回,声帯エコーを用いた声帯機能評価を行ったので報告する。【方法】2017年10月から2019年1月までに施行した小児大動脈弓再建術のうち,術後声帯麻痺を疑う症状を呈した7例に対して声帯エコーを実施した。後日,耳鼻咽喉科医師による喉頭内視鏡を施行してエコー所見と比較した。【結果】大動脈縮窄症複合5例,大動脈離断症複合1例,左心低形成症候群1例の術後に嗄声を認めた。声帯エコーで左声帯麻痺6例,正常声帯1例と診断し,後の喉頭内視鏡で7例中6例が声帯エコー所見と一致した。抜管から声帯エコーまでの日数(中央値)は2日であった。【結論】声帯エコーは小児大動脈弓再建術後の声帯麻痺の診断に有用で,声帯機能評価のための検査法となり得る。

短報
委員会報告
  • 日本集中治療医学会臨床倫理委員会
    2020 年 27 巻 2 号 p. 129-149
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル フリー

    今回,日本集中治療医学会臨床倫理委員会は,蘇生不要(Do Not Resuscitate, DNRまたはDo Not Attempt Resuscitation, DNAR)〔以下,DNR(DNAR)〕指示の理解と運用,蘇生以外の医療行為の差し控えなどへの影響,各ガイドライン,DNAR指示のあり方についての勧告(以下,DNAR勧告)の周知,使用状況について医師会員にアンケート調査をして,2016年の調査と比較した。その結果,施設の体制やDNR(DNAR)指示の実務には変化はみられないが,医師の考えには一定の変化がみられた。それは,2016年の調査に比べて蘇生以外の医療を差し控えると答えた回答者が有意に少なく,特にDNAR勧告を読んだ回答者で,読んでいない回答者に比べて有意に少なかった。一方で,各ガイドラインについての理解は十分でなく,あらためて周知が必要と考えられた。

  • 日本集中治療医学会J-PADガイドライン検討委員会
    2020 年 27 巻 2 号 p. 150-158
    発行日: 2020/03/01
    公開日: 2020/03/01
    ジャーナル フリー

    「日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン(2014年)」公表後のわが国の集中治療領域における痛み・不穏・せん妄管理の現状を明らかにすることを目的として,2016年1月に日本集中治療医学会会員を対象にアンケート調査を実施し,今回,2019年3月に2回目の実態調査を実施した。調査の結果,ガイドラインの認知度・活用度は高かったが,同職種内での周知度は低迷していた。ガイドラインの推奨項目については,実施率の増加が確認できたが,さらに周知度や遵守率を高めるため,ガイドラインの周知活動の継続,組織内でガイドラインの教育・普及を推進できる人材への支援活動の充実が今後の課題である。

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