要約:2018年度に「早期離床・リハビリテーション加算」が新設され,集中治療における理学療法が注目されている。集中治療における理学療法への期待は,早期離床,気道クリアランス,身体機能の改善,合併症の予防など多岐にわたる。ICU退出後にも,患者の呼吸機能の低下,身体機能の低下,認知機能の低下,生活の質の低下は長期に及ぶことから,集中治療後症候群(postintensive care syndrome, PICS)対策も重要な役割である。2020年,筆者らは「Minimum standards of clinical practice for physical therapists working in intensive care units in Japan」を発表した。これは集中治療に関わる理学療法士の質保証を促すだけでなく,集中治療チームにおいて理学療法士の仕事に対する理解を深めたり,集中治療で働く専門職の卒後教育ツールとして活用も期待できる。集中治療における理学療法士の役割は明確であり,集中治療における理学療法士の役割を確実に果たすためにも,理学療法士は自ら質向上に努めることが重要である。