日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
非特異性間質性肺炎に対し高頻度振動換気法を行い肺移植へ繋いだ小児例
箕浦 啓宣黒坂 了正大森 教雄野田 俊輔北村 真友
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2022 年 29 巻 3 号 p. 219-223

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抄録

非特異性間質性肺炎に対する高頻度振動換気法の有用性は定かではない。非特異性間質性肺炎(interstitial pneumonitis, IP)に対し,高頻度振動換気法(high frequency oscillatory ventilation, HFOV)を行い肺移植へ繋いだ小児例を経験したので報告する。症例は6歳,男児。3歳時に膀胱原発胎児型横紋筋肉腫を発症し,化学療法と局所放射線治療を行い,再発なく経過していた。5歳時から乾性咳嗽があり,入院1か月前から増悪した。胸部CT検査,肺生検病理所見から,化学療法に起因した非特異性IPと診断した。肺生検後にIPが急性増悪し,人工呼吸器管理を開始した。従圧式補助調節換気では換気を維持できず,HFOVに変更し換気を維持した。慢性進行性のIPで肺移植以外に救命の手段がなく,生体肺移植の適応と判断した。 HFOV管理で生体肺移植まで繋ぐことができ,独歩で自宅へ退院した。本症例から,HFOV はIPに対して肺移植までの繋ぎの呼吸管理として有用である可能性が示唆された。

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© 2022 日本集中治療医学会
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