日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
CT検査での脊柱起立筋評価からcritical illness polyneuropathyと診断した小児の重症ICU-acquired weakness
花見 洋太朗芦名 一茂菅 健敬滝田 順子松本 和久中島 大輔伊達 洋至大島 洋平
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2022 年 29 巻 5 号 p. 523-527

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抄録

ICU-acquired weakness(ICU-AW)は重症患者に発症する急性びまん性の筋力低下の総称であり,critical illness polyneuropathy(CIP)やcritical illness myopathy(CIM)を包括した概念である。今回,重症呼吸不全の6歳児に対して肺移植を施行したが,多数のリスク因子が重なり術後にMedical Research Council(MRC)score 0点の極端なICU-AWを呈した。胸部CT検査で脊柱起立筋の筋断面積が維持されていたことから,ICU-AWの原因としてCIPを疑った。また,呼吸状態が不安定でリハビリテーションが進まず,脊柱起立筋の筋量に変化を認めない中でも筋力低下の順調な改善を認め,CIPを裏付ける臨床経過であった。CIMが数週〜月単位で回復するのに対して,CIPは年単位で障害を残すこともあり,長期予後を考える上で鑑別が重要である。CT検査を含めた画像検査は,重症小児におけるICU-AWの診断の一助となるだけでなく,病態の鑑別に有用な可能性がある。

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© 2022 日本集中治療医学会
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