日本集中治療医学会雑誌
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総 説
脳死判定基準についての考察―国際コンセンサスと本邦における脳死判定基準の違い
中村 健太郎
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2022 年 29 巻 Supplement2 号 p. S13-S19

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抄録

2020年に脳死判定に関する国際コンセンサス(Determination of brain death/death by neurologic criteria: The World Brain Death Project)が発表され,この中で脳死判定基準,判定方法に関する国際的な統一目標が掲げられた。Brain death/ death by neurologic criteria (BD/DNC)の判定に深昏睡,脳幹反射消失,無呼吸の確認が必要とされることは世界共通の認識であるが,一方,解消できない要因により手順通りの脳死判定を完遂できない場合の補助検査の追加,無呼吸テストに際してのPEEPの使用,またルーチンでの脳波検査を必要としない点などは本邦の現状と異なる。終末期患者の最期の意思に応え,よりよい移植医療を実践していくためにも,本邦の現状を見据えながら国際コンセンサスとの整合性を図っていくことが求められる。本稿では脳死判定基準についての国際コンセンサスを要約した上で,本邦の現状との違いや問題点について整理する。

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© 2022 日本集中治療医学会
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