日本集中治療医学会雑誌
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総 説
補助検査についての考察
横堀 將司江川 悟史横田 裕行
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2022 年 29 巻 Supplement2 号 p. S20-S24

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抄録

2020年に脳死判定に関する新しい国際コンセンサスが作成された(determination of brain death/death by neurologic criteria: The World Brain Death Project)。これによると,解消できない要因により脳死判定に関わる臨床検査を完遂できない場合に,補助検査を施行するべきとされている。補助検査は主として脳血流検査および電気生理学的検査に大別される。特に脳波検査は本邦の法的脳死判定では必須とされているが,今回の国際コンセンサスにおいては,脳波検査は脳幹機能を検査できないため,これを判断基準とすべきでないとの記載がある。また,脳血流検査においては,近年普及しつつあるCT血管造影やMRIについても言及されているものの,臨床的データの少なさから,現状では脳血流停止を評価するための補助検査として使用しないことが提案されている。我々には,本邦の脳死判定基準の歴史や国際コンセンサスとの整合性を図り,補助検査を活用することが求められている。

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© 2022 日本集中治療医学会
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